『この夏の星を見る』
鑑賞日時:7/6(日)8:25〜
鑑賞映画館:新宿バルト9
青春には人生でたった一時期しか持つことができない有り余る熱量というものがある。しかし青少年たちの躍動は無念にもコロナ禍による社会的な制約に塞がれてしまった。学校行事、放課後、部活、修学旅行、数え上げればキリがない。
そのコロナ禍で青春を奪われた中高生たちがオンラインで繋がり、「スターキャッチコンテスト」と名づけられて、全国各地で同時に天体観測を実施する。茨城1組が主催、長崎・五島市1組、東京2組が参加した。実在のモデルがあるようだ。桜田ひより主演の青春群像劇。私の好きな作品ジャンル。
主催者である高校の天文部顧問から指定された星の名前を告げられると、待ち構えていた望遠鏡がすかさず星が位置する方角にグッと傾けられる。さらに観測者はファインダー越しに真剣な眼差しで位置を決めた瞬間「ロック!」と声をかけ、星のハッキリとした輪郭の捕獲に成功する(導入)。この映像的な身体性が表現されたシーンを見ただけでも大変爽快なのだ。
天体を観測するということは、天を仰ぎ見ること。究極に前向きな精神の表現がそこにある。あらゆる艱難の乗り越えを確信させてくれる神の実在を確認することに他ならないと思ってしまうわけである。
桜田ひよりと黒川想矢に目が離せなかったのは言わずもがなだけど、私は早瀬憩の号泣場面に、格段に深みのある表情をみせる役者なのだと、一番印象に残った。