『秋が来るとき』
鑑賞日時:6/1(日)8:05〜
鑑賞映画館:新宿ピカデリー
【ネタバレあり】
予告編も観ないで、ただフランソワ・オゾン監督作品だという情報のみで鑑賞。
邦題のイメージから、80歳老女ミシェル(エレーヌ・ヴァンサン)の穏やかな表情を湛えた生き様をブリュゴーニュの田舎風景を切り取りながら緩やかに物語を進めていくものだと思いきや、やはりフランソワ・オゾンである。期待通り今回も楽しませてくれた。
ミステリアスな仕込みをキッチリこなしている。
終盤に、ヴァレリーの事故死に疑念を抱き再捜査に動いている女性警部が少年ルカに、パリの自宅マンションの入り口ですれ違ったのは、あなたもよく知っているヴァンサンよね?と問いかけた時に、ルカは「…違う」と答えた。(ルカとヴァンサンはすれ違ったその時点ではまだ知り合ってはいない)
警部は間違いなく少年がなんなく「そう」と答えるだろうと高を括っていたはずである。
でも、そうはならなかった。
なぜか?
ルカはミシェルはじめ、大人達に純粋な子供らしくいろいろな質問をしていた。人物達はみな常にルカを慈愛の眼差しで見守る。ルカの人物造形に、素朴な少年像を超えた崇高さを讃えた存在として目に映った。
そうなるとルカに無意識のうちにでも、神の目(赦し)が備わっていたのではないだろうか?(ミシェルがルカに、自身の過去を吐露したときのルカの反応を確認して欲しい)
ラストも倫理的にキッチリと回収されている。青年になったルカが久しぶりにブリュゴーニュのミシェル宅を訪れたことのこれから起きる出来事の必然性と意味。フランソワ・オゾンはお見事と言う他ない。
