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【映画鑑賞】海辺へ行く道

『海辺へ行く道 』

鑑賞日時:8/31(日)8:00〜

映画館: 新宿ピカデリー

 『ウルトラミラクルラブストーリー』(2009年)で松山ケンイチのぶっ飛んだ"ご当地"演技を目撃してしまい、『いとみち』(2021年)では弘前の女子高生役駒井蓮の内気で人見知りの性格描写とメイドカフェの制服姿で津軽三味線を掻き鳴らす熱い眼差しの姿が今でも余韻に残っている。そんな味わい深い作品群で注目し続けている横浜聡子監督の最新作『海辺へ行く道』を新宿ピカデリーで鑑賞した。

 漫画家・三好銀の作品『海辺へ行く道』のシリーズを映画実写版で様々なエピソードを映像化しているだけに一種の群像劇となっている。なんだか怪しい芸術家たちが海辺の街に移住してくる。地元の住民たちとのコメディチックな絡みをオムニバスのような体裁で作られている。

 作品全体に帯びている映像的な楽観性に惹きつけられる。たとえば冒頭。不動産屋勤務の理沙子(剛力彩芽)が内見に立会っている芸術家用物件の窓を開くと、空から降りそそぐ陽の光を浴びる時に見せる楽観性を帯びた妙に漫画チックな表情が映えてグッと気持ちを掴まされたり、自転車に乗ったヨーコ(唐田えりか)が両脚を広げて滑走している姿(異様に長いサンバイザーはともかく)は相米慎二作品『魚影の群れ』の夏目雅子を想起して思わずニヤリとしてしまった。さらに美術部の中学生・奏介(原田琥之佑)と先輩・テルオ(蒼井旬)と後輩・良一(中須翔真)の3人のアート制作場面はいかにも緩やかで瑞々しくもあり躍動感もありで、たとえばしつこく茶々を入れるテルオの妹・加奈(新津ちせ)の生意気な態度でオブジェを引っこ抜くイタズラをしながら立ち去る流れが秀逸にスムーズで印象深い。

 そんな群像劇の様相の中でも個別に私がどうにも気になりだした俳優がいる。梨本テルオ役の蒼井旬である。『この夏の星を見る』ではさほど目立つ場面はなかったが、今作では奏介と良一に対する"先輩づら"の語り口や病に臥した老女へのサプライズ演出を老女の家族に目撃されて警察沙汰になってしまった時の和解の場をぶち壊す言動の見事な演技。長谷川博己のような強烈さは今の時点では足りないものの、綾野剛にも似たシリアスなシーンでの"物を言う眼差し"で価値のある芝居が期待できそうな有望役者なのではないか。

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