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【映画鑑賞】Black Box Diaries

4/24(金)10:30
『Black Box Diaries』
鑑賞映画館:Morc阿佐ヶ谷

 この作品には鑑賞中頻繁に不意に襲われる不思議な手触り感というも のがある。想像していたものと違うということなのだけれど、観ている私自身の姿勢(アクセス)が拒まれるような感覚。いや、言い変えると実は逆で、映画の方から観ているものへ一方的に手を差し伸べてくれているような感覚なのだ。

 ノンフィクションで描かれている内容は相当深刻なものである。しかし誤解を恐れずに言ってしまえば、作品の建てつけが少なからずエンターテイメントしているのだ。時に社会派ノンフィクション作品が求める観る側からの寄り添いの姿勢など必要としない、なんなら伏線回収さえ施されていて周到に作り込まれている。編集として首都高速トンネル走行中の映像の使い方や、伊藤詩織氏に捜査協力をしている捜査官Aなる人物が見せる人間味 。この捜査官Aは伊藤詩織氏に惚れちゃっているのではないか。山口敬之は確かに人間のクズだ(コイツを擁護している今の保守論壇野郎たちもクズ)。しかしこの捜査官Aも一歩間違えばクズになってしまう接し方を伊藤詩織氏にしてしまうような予感さえ覚えてしまうのである。

 そして何よりも伊藤詩織氏本人のルックと表情から滲みでる聡明さが際立っていて、映画作品として非常に完成された秀作となっている。なるほど英国アカデミー賞にノミネートされるのも納得なのだ。

 伊藤詩織氏はこの作品を流暢な英語で全世界に発信している。つまりある意味世界と対峙していることになる。ではどんな世界と対峙しているかというと、戦争はもちろん国家の成り立ちから政治や法律なる制度、金融、宗教まで…いやそれだけではない。ホモサピエンスが日常営む生活世界(家父長制を含む)や土着習慣、"女"の概念、たとえば"女の敵は女だ"みたいな(言語)までもを、いかに男達が支配し、粉飾してきた歴史だったのではないのか? とそんな世界の在り方を問い糺している。そうでなければジャーナリスト伊藤詩織氏の勇気とのバランスを考えたら、後世でも語り継がれなければならない作品なのである。決して大袈裟ではない。

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